不法投棄の廃工場

 

工房のあるエリアは
大阪空港(伊丹空港)に隣接しており
いわゆる準工業地域になっています。

 

ここ数年は工場の廃業や移転などで
周辺も空き地や廃工場も増えてきていました。
工房のすぐ側に廃工場がありその周辺は
不法投棄が凄まじく、特に最近は家財道具(家具や家電)などの
大型ごみが歩道に溢れ出すほど捨てられていました。

 

正確にいつ頃からこんなにゴミの山になったのか
もう今となっては記憶も定かではないのですが
5~6年以上は過ぎているはずです。

 

不法投棄はすでに社会問題化しています。
おおよそのイメージでは悪徳産廃業者や
土木・建築系の業者がトラックで乗り付け
山盛りの産廃をどさっと捨てていくように
思われているのではないでしょうか。

 

が実態はそうではなく
何度か不法投棄の現場を目撃していますが
いずれも明らかに近隣に住んでいる方
私が目撃したのは初老の女性や中年男性でした。
捨てているのは分別さえすればきちんと回収してもらえるゴミばかり。

 

分別が面倒なのか
皆んな捨てているからついでに捨てろ
そんなことを思うのか
普通の顔した人がシレッと捨てていくのは
間近で見ると少し恐いものです。

 

家庭菜園でもやって不要になったレンガやら
プランターに土。酷いのは生きた魚が入った水槽
正月休みやお盆休み明けには
必ずごみが増えています。
日本人のどこがモラルが高いのか?
などと思うほどの有様。

 

近隣は準工業地域であるにも関わらず
工場がなくなった跡地に
ウィークリーマンションが建ち
戸建てが建ちするうちに
そのようなゴミ(不法投棄)が増えてきました。

 

そんな中、去年のこと
市のとある部署(ご迷惑がかかると困るのであえて書きません)
の方が工房を訪ねて来られました。
要件は全く違うことでお越し頂いたのですが
その際のお話で

 

「近隣の空地、廃工場に不法投棄が酷く
治安にも悪影響。顧客が工房、工場がに来た時にとても困る。」

 

と伝えました。
もちろん何かを期待したのではありません。

 

市の方は「何か市として力になれるかわからないが
必ず問題として上に報告します。」
とおっしゃって帰られました。

 

それから数カ月経ったある日
数台のパッカー車、トラック
市の職員の方10名近く。
地主と思しき人などが集まり
1日がかりでゴミの撤去、伸び放題だった樹木の伐採
今後の不法投棄防止のフェンスの設置
全ての作業を済ませてくれました。

 

本当に驚きの出来事でした。
空地などへの不法投棄は地主の権利が強くて
第三者が簡単に介入できないので
ほとんど諦めていたのに・・。

 

その撤去の数日後
朝早くに工房の電話が鳴り受話器をあげると
先日の市の方でした。

 

「時間がかかりましたが担当者が粘り強く
地主と交渉してようやく撤去作業ができました。」

 

正直、行政に何か具体的に行動をしてもらえるなんて
全く考えていませんでした。

 

ましてうちで話をしたことがきっかけになっただなんて
思ってもみませんでした。

 

地主との交渉は本当にご苦労があったと思います。
役所というだけで偉そうに怒鳴られたり
担当の方のストレスも相当だったはずなのです。

 

しかし今回の市の方は見て見ぬ振りはしなかった。
本当に近隣皆喜んでいるし感謝しています。

 

わが町にも希望はあるなと感じた瞬間です。

 

最近嬉しいことは少ないけど
本当にありがたいと思ったことです。

 

感謝の気持ちが伝わればと思い書きました。
本当にありがとうございます。